会社のマネジメントクラスに参考になる話題を一つ。
近年、ビジネス周りのグローバル化うんぬんの話が出てくるようになってから、英語くらい話せないとね、という圧が強くなっていました。
楽天が社内公用語を英語にしたことが話題になりましたね。
楽天って国内事業ばかりなのに何の意味が、、、という話はさておき(笑)、
AI翻訳の雄ロゼッタが「社内の英語禁止」を発令しました。
プレスリリース
https://www.rozetta.jp/download/2021030102.pdf
まあ、自社製品のPR手段だとは思いますが、しかし、的を得ているなあと感慨深く思います。
このあたりがとても納得。
英語だけ話せて仕事ができない人に担当させたり、
仕事ができる人が英語を話せないだけで外されたり、
語学ができるがゆえに本職じゃない翻訳をさせられたり、
当社は翻訳事業を保有している関係で、外国語を扱うことを業務としています。
翻訳の専門タイナーズ
https://www.tiners-p.com/
で、以前からずっと思っていたのが、
英語ができることと、仕事ができることとは全く別問題
という点です。
英語は言語であり、それはコミュニケーションをとったり、資料を読んだり共有したりする手段に留まり、仕事で成果を上げることそのものではありません。
「英語ができるできない」と「仕事ができるできない」は、ぜんぜん異なる次元の話で、なまじ「TOEIC900点!」とか「海外の大学院を出てる!」という理由で人材を採用してしまって、ふたを開けてみれば、たしかに英語は素晴らしいけど、素晴らしく仕事ができないということが分かってしまう残念な結果に陥ります。
現に、当社の翻訳事業で翻訳者を募集した時、同じように「TOEIC満点!」とか「英語圏在住10年!」という資格と言うか経歴の方にご応募いただきますが、筆記試験を受けていただくと、非常に採用が難しい答案の場合があります。なぜなら、翻訳するという行為は、英語能力とは別に「原稿を作る」という能力が必要になるからです。
また、上記のロゼッタのリリースにもあるように、英語ができるという理由で、本当は別の仕事をしてもらったほうがすごく能力を発揮できるのに、机に向かって翻訳ばかりをしなきゃいけないとなると、それは適材適所ではありません。
そもそも、翻訳なんて当社のような翻訳会社に外注に出したほうが、人件費も時間コストも明らかに安く済みますからね。会議では通訳なんかをスポットで雇えばいいだけです。
もちろん、そんなふうに決めきることはできませんが、人材マネジメントの観点で言えば、「英語ができる人」が仕事ができる人ではなく、「仕事ができる人」が仕事ができる人だということをしっかり理解しておく必要があります。
英語という言語が成果を上げるために必要な職場では、当然英語ができることが「仕事ができる」の要素に入ります。経理部門において簿記が「仕事ができる」の要素に入るのと同じようにです。英語も簿記も手段にとどまります。