昇格試験において、小論文と同じくらい“やっかい”なのがケーススタディです。
あなたの現在のポジションにもよりますが、たいていの場合、課内のコミュニケーションをどうするかなど、マネジメントがお題として出されることが多いです。
内製と外注、その違い
このケーススタディ、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、内製の場合と外注の場合とがあります。
内製というのは、自社内でケースを作成して評価も社内で行うというものです。
だから、評価者はもちろん社内の人であり、採点の基準も社内で独自で決めています。
外注というのは、この種のケーススタディを作成・評価するサービスを行っている企業に、文字通り外注することです。
この場合、評価者はその外注企業で、採点の基準ももちろんその外注企業です。
企業の色が出る評価基準
いずれにせよ“やっかい”なものであることに変わりはありませんが、点数をもらうための対策を立てやすいのは外注のほうです。
というのも、外注の場合、ケーススタディとその評価をサービスとして提供しているため、お題も評価の仕方も画一化されています。サービスを提供する側としてしっかりとルールを決めておかないとサービスとして成立しないためです。そして評価の仕方は平準化されており、分かりやすいです。
いっぽうで、内製の場合はその企業の色が出ます。その企業が何を大切にしているかによって、点数の出方も異なるためです。自社を深く理解する必要があります。まあそもそも、きちんと「何を大切にしているか」がぶれまくっている企業もあるため、評価の仕方も揺れるかもしれません。
評価基準も講評も、「あいまい」です
両者に共通することは、案外、評価基準があいまいであることです。
これは悪い意味ではなく、評価は機械ではなく人の手で行われるため、そういうものだ、しようがないものだとして割り切る必要があります。
たとえば、部門のマネジメントをやったことがない人が、理屈だけで採点することもありますし、読解能力がそれほど高くない人が評価することもあります。もちろん、とてもレベルの高いアッパークラスの人が採点することもあれば、国語力が極めて高い人が評価する場合もあります。
これらは、昇格試験を受ける側が選べるわけでもないので、「開けてびっくりのお楽しみ」でしかありません。
こう思うと、昇格試験のあとに出される総評なんて、アテになるのかならないのか分かりませんが、人による評価であるため、そんなもの、と言えばそんなものです。
大学受験の共通テスト(センター試験)で記述式の導入が見送られることになりましたが、これは採点基準を統一できない(採点者によってばらつきが出てしまう)からです。
試験の評価より仕事の評価
と、このように、案外、自分が思っている評価をいただけない場合があったり、または、自分が思っている以上に点数が伸びたりしますが、そこに一喜一憂せず、試験当日まで、淡々とケーススタディの準備をし、淡々と臨むのが心の健康にとって望ましいのではないかと思います。
なぜなら、もっとも大切なのはケーススタディでいい点数を取ることではなく、昇格したのちに、いい仕事をして(昇格試験の評価ではなく)自分の評価を上げることですからね。